愛のあとにくるもの|坂口健太郎×イ・セヨンが描く“別れの余韻”に涙する

Amazon Prime Videoで配信中のドラマ『愛のあとにくるもの』

坂口健太郎とイ・セヨンが日韓の恋人を演じ、静かな余韻を残すラブストーリーです。

タイトル通り「愛のあと」に残るのは悲しみか、それとも希望なのか。

本記事では、物語のあらすじや印象的なシーン、そして“別れ”を描く中に込められた意味を、筆者の感想を交えてまとめます。

『愛のあとにくるもの』概要と作品情報

2024年に公開された日韓合作ドラマ『愛のあとにくるもの(原題:What Comes After Love)』は、作家・辻仁成と韓国の人気作家コン・ジヨンによる同名小説を原作とした作品です。

監督はムン・ヒョンソン、脚本は両国のチームが共同で手がけ、坂口健太郎とイ・セヨンという実力派俳優が共演。

日本と韓国という異なる文化背景を持つ二人の男女が、出会い、愛し合い、そして別れるまでを静かに描き出します。

本作の舞台は東京とソウル。

日本留学中の韓国人女性ホン(イ・セヨン)と、日本の大学生・潤吾(坂口健太郎)は、偶然の出会いをきっかけに惹かれ合います。

しかし、ある事件をきっかけに二人は離ればなれに。

5年後、ソウルで再会した彼らは、過去と現在が交錯する中で“愛のあと”に残された感情と向き合うことになります。

映像は全編にわたり繊細な色彩で統一され、季節の移ろいが二人の心情を代弁しているかのよう。

まるで詩のような台詞と静かな間(ま)が印象的で、映画のような質感を持つドラマです。

愛のはじまり──東京での出会いが美しすぎる

第1話で描かれる東京での出会いは、まさに“奇跡のような時間”です。

言葉も文化も違う二人が、心の奥で通じ合っていく過程には、観ている側も自然と笑みがこぼれます。

潤吾の不器用な優しさと、ホンの素直でまっすぐな想い。

坂口健太郎の柔らかな声と、イ・セヨンの繊細な表情が、この初恋のような時間を瑞々しく描き出しています。

特に印象的なのは、春の桜並木を歩くシーン。

二人の間にまだ距離があるのに、風に舞う花びらがまるで「もう二人は運命で結ばれている」と囁くよう。

この“静かな幸福”が、後に訪れる別れをより痛く、深いものにしています。

すれ違いと別れ──「愛のあと」に残る痛み

物語の中盤、二人の関係に暗い影が差します。

環境の違い、将来への不安、そしてほんの小さな誤解が、やがて大きな溝へと変わっていく。

坂口健太郎演じる潤吾の表情からは、「彼女を守りたい」という気持ちと「自分にはできないかもしれない」という葛藤が伝わってきます。

一方、イ・セヨンは“愛するからこそ距離を置く女性”を、静かな涙で表現。

その切なさがあまりにもリアルで、胸が締め付けられるほどでした。

別れのシーンで印象的なのは、言葉よりも「沈黙」です。

二人は互いに想いを伝えきれないまま離れていく。

その余白が観る者の想像を掻き立て、「もし自分なら」と考えさせられます。

“愛のあとにくるもの”とは、未練でも後悔でもなく、「自分と向き合う時間」なのかもしれません。

 再会と赦し──時を超えて描かれる愛のかたち

5年後、ソウルで再会した二人。

すでに別の人生を歩んでいるように見えながら、どこかでまだ互いを想っている。

この再会が本作最大の見どころです。

潤吾が韓国語を少し話せるようになっていること、ホンが日本語を忘れずにいること。

それは、二人が心のどこかでずっと相手を想い続けていた証です。

「時間は人を変える」とよく言われますが、このドラマでは“時間は愛の形を変える”と感じさせられます。

かつての情熱的な恋は、成熟した思いやりへと変わり、互いを赦す強さを育てていたのです。

坂口健太郎とイ・セヨンの再会シーンでは、言葉を交わすよりも目線で語り合う演技が秀逸。

特に最後の「ありがとう」の一言には、二人が過ごした全ての時間が詰まっていました。

ラスト考察:「愛のあとにくるもの」とは何か

最終話で描かれる結末は、決して“ハッピーエンド”ではありません。

けれど、どこかに温かさが残ります。

この作品が伝えたかったのは、「別れは終わりではなく、次の始まり」だということ。

愛のあとにくるのは喪失ではなく、“生き方の選択”です。

潤吾もホンも、過去の恋を抱えたまま、それぞれの未来へと歩き出す。

その姿に、私たちは“本当の強さ”を見るのではないでしょうか。

タイトルが示す通り、「愛のあとにくるもの」とは、“静かな成長”と“記憶の温もり”。

愛は終わっても、心のどこかに残り続ける──それが本作のテーマだと感じました。

映像美と音楽──沈黙の中にある言葉

本作のもう一つの魅力は、映像と音楽の美しさです。

東京の春、ソウルの冬、そして雨の音や風の揺らぎまでが、まるで登場人物の心情を語っているよう。

音楽も控えめで、シーンを邪魔しない。

ピアノの旋律が静かに流れ、涙が自然と溢れてくるような感覚になります。

派手な演出ではなく、“余白で魅せる”スタイルが、まさに「大人のラブストーリー」らしさを感じさせました。

まとめ:愛は終わっても、想いは生き続ける

『愛のあとにくるもの』は、恋愛ドラマでありながら、人生の“通過儀礼”のような作品です。

誰もが経験する「別れ」と「後悔」、そしてその先にある“静かな希望”。

派手な展開や刺激的なセリフはないけれど、ふとした瞬間に胸を締め付けるようなリアルさがあります。

坂口健太郎とイ・セヨン、二人の繊細な演技が、愛の儚さと美しさを完璧に表現していました。

「愛のあとに何が残るのか」──それは人それぞれ違うかもしれません。

けれど、このドラマを観終えたあと、きっと誰もが同じように感じるでしょう。

“別れ”の中にも、“生きる”力があるのだと。

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